円とリンギットの直接取引を促進へ|日馬の協力で企業の決済はどう変わる?

円とリンギットの直接取引を促進へ|日馬の協力で企業の決済はどう変わる?

日本の財務省とマレーシア中央銀行(BNM)は2026年9月15日、貿易・投資での現地通貨利用を促す協力覚書の締結を発表した。円とリンギットの直接取引に関するレート表示や、銀行間取引の促進に取り組む。

マレーシアへの輸出や現地からの調達を行う日本企業にとって、代金をどの通貨で受け払いするかに関わる動きだ。ただし、発表は当局間の協力枠組みであり、送金手数料の引き下げや特定銀行の新サービス開始を決めたものではない。

円とリンギットを直接取引する市場を後押し

財務省によると、両当局は日馬間の経済取引で現地通貨の利用を促す施策に合意した。直接取引のレート表示と銀行間取引に加え、情報共有や定期的な協議も行う。

直接取引は、米ドルなど別の通貨を介さず円とリンギットを交換する取引を指す。ただし、通貨の交換方法と送金の経路は別である。今回の合意だけで、中継銀行を介する送金や関連手数料がなくなるわけではない。

リンギット決済自体は既存制度でも可能

BNMの既存の外国為替制度では、非居住者も条件に従い、商品・サービスの代金をリンギットで支払い、受け取ることができる。国内の認可銀行や、指定された海外拠点を通じたリンギットの外国為替取引も認められている。

銀行からは取引目的を確認する書類などを求められる場合がある。今回の覚書は、リンギット決済を初めて解禁するものではなく、日馬間で現地通貨を使いやすくするための協力と捉える必要がある。

契約通貨によって為替変動の負担が変わる

日本政策金融公庫の輸出ガイドは、円建て決済では海外の取引相手が為替リスクを負うため、相手の合意を得られるとは限らないと説明している。例えば輸出代金を円で固定すれば、日本側の円の受取額は一定でも、買い手が用意するリンギット額は相場によって変わる。

一方、リンギット建てで固定すれば、日本側が円に換える際の受取額が変動する。実務では、取引銀行の対応通貨や適用レート、送金・受取手数料を確認し、必要に応じて将来の交換レートを決める為替予約も比較する。今後の確認点は、当局の合意が各銀行の具体的な取扱条件にどう反映されるかである。


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