マレーシアの労働安全衛生局(DOSH)は、在宅勤務や勤務時間の変更などに対応した「柔軟な働き方の実施に関する労働安全衛生ガイド2026」を公表している。身体的な危険だけでなく、仕事のストレスや精神的疲労も考慮し、勤務場所が変わっても安全と健康を確保するための対応を示した。

HRM Asiaは2026年2月13日、ラマナン人的資源相の説明を報じた。今回のガイドは既存の労働安全衛生法に基づく実務資料であり、新たな法律の成立を発表したものではない。
在宅勤務でも雇用主の安全衛生責任は続く
ガイドが扱う柔軟な働き方には、働く場所、勤務日、勤務時間の変更や、その組み合わせが含まれる。従業員からの申請だけでなく、会社が指示して導入する場合も対象となる。
1994年労働安全衛生法第15条では、雇用主は実行可能な範囲で、就業中の従業員の安全、健康、福祉を確保する責任を負う。在宅勤務を認めても、安全管理をすべて従業員任せにできるわけではない。ガイドは、この責任を柔軟な働き方に当てはめて説明している。
作業環境に加え、業務負担や精神的疲労も確認
DOSHは、導入時に従業員も参加してリスクを評価する流れを示している。机や椅子などの作業環境に加え、ストレス、精神的疲労、燃え尽きにつながる仕事上の要因も考慮する。業務負担や仕事と私生活のバランスは、定期的な評価項目にも含まれる。
日本企業のマレーシア拠点でも、在宅勤務制度を設ける際の確認資料となる。実務では、勤務場所の承認と併せて、業務量、連絡方法、健康上の問題を報告する経路を整理することが考えられる。
申請への回答と、導入時の安全確認は別の手続き
半島部とラブアンに適用される1955年雇用法では、2023年1月から、従業員が勤務時間・勤務日・勤務場所の変更を書面で申請する仕組みが設けられている。雇用主は受領から60日以内に承認または拒否を決め、書面で回答する。拒否する場合は理由も示す必要がある。
ただし、申請すれば希望どおりの働き方が自動的に認められる制度ではない。企業は申請への回答と、導入する働き方の安全衛生上の評価を分けて管理する必要がある。今回のガイドは、後者を具体化する際の確認資料となる。
出典を見る(3件)
HRM Asia「Malaysia expands employer duty of care to mental health under 2026 Flexible Work Safety Guide」(2026年2月13日)
マレーシア労働安全衛生局(DOSH)「Panduan Keselamatan dan Kesihatan Pekerjaan Bagi Pelaksanaan Aturan Kerja Fleksibel(AKF)2026」
マレーシア半島部労働局(JTKSM)「1955年雇用法・2022年改正に関するFAQ」

