マレーシアの2026年の経済成長率について、経済学者のパオロ・カサディオ氏とジェフリー・ウィリアムズ氏は、年間5.7%に達する可能性があるとの見通しを示した。第4四半期には5.9%の成長を予測しており、AI関連の半導体製造やデータセンターへの投資が、経済拡大を後押しすると分析している。
今回の見通しは、工場の電力使用状況や資本の動きなどを分析する両氏独自の予測モデルに基づくもの。政府や中央銀行による公式予測ではない。
半導体製造とデータセンター建設に注目
両氏は、2026年の製造業の成長率を8.5%、建設業を9.2%と予測している。
製造業では、ペナン州におけるAI向け半導体の高度なパッケージング・検査工程を成長要因に挙げた。建設業では、ジョホール州とシンガポールを結ぶ地域で進む大規模データセンターの開発が、需要を支えると見込んでいる。
金融・物流・テクノロジーなどのサービス分野についても、6.5%の成長を予測。先端産業への投資が、関連する幅広い分野に波及するとの見方を示している。
投資は約10%増、個人消費も成長を支える見通し
需要面では、投資が約10%増加し、GDP成長率を2.1ポイント超押し上げると推計した。
世界的なテクノロジー企業による施設建設やサーバー設備、太陽光発電などへの投資が、成長の原動力になるとしている。
個人消費については4.8%の成長を予測し、GDP成長率への寄与度を2.6ポイントと見込む。企業の設備投資に加え、国内消費も経済を支えるとの分析だ。
AI関連産業の成長を捉える新たな指標
両氏は、輸出数量や雇用人数などの従来の指標だけでは、AI関連産業が生み出す付加価値を十分に把握できない可能性があると指摘する。
例えば、半導体の輸出数量が大きく変わらなくても、製品の高付加価値化によって経済的な価値が増す場合がある。そのため、電力使用量や設備投資、データセンターの処理能力なども併せて分析することが重要だとしている。
成長の恩恵を広げるには人材育成も課題
一方で、AI関連投資の拡大に伴い、産業用地や電力、専門人材のコストが上昇するリスクにも言及した。
成長の恩恵を一部の企業や地域に集中させないためには、技術人材の育成や賃金向上につなげる取り組みが必要だとしている。
マレーシア経済の今後を見極めるうえでは、投資規模だけでなく、関連産業への波及や人材確保の動向も注目点となりそうだ。

