AIで生活習慣病の重症化を防げるか|DeNA、マレーシアで日本発の予防事業を実証へ

ディー・エヌ・エー(DeNA)は2026年10月13日、マレーシアでAIを活用した予防医療の実証事業を始めると発表した。現地の医療関連データから、将来、生活習慣病が重症化するリスクの高い人を予測する。日本で行ってきた予防プログラムも現地向けに調整し、効果を確かめる計画だ。

経済産業省は同年6月、この事業を海外での小規模実証などを支援する補助事業に採択した。採択は検証を後押しするものだが、マレーシアでの効果や事業化が確認されたわけではない。

成人の糖尿病有病率は2023年に15.6%

マレーシア保健省の全国調査によると、2023年の成人の糖尿病有病率は15.6%だった。このうち9.7%は糖尿病と分かっていた人、5.9%は本人が認識していなかったものの、調査時の血糖値が高かった人である。DeNAが発表で示した「成人の約16%」は、この調査値に基づく。

有病率は2019年の18.3%から低下した一方、2011年の11.2%を上回っている。今回の実証では、リスクの高い人を見つけるだけでなく、その後の受診や生活習慣の改善につなげられるかが重要になる。

日本での取り組みを現地向けに調整

DeNAグループのデータホライゾンとDeSCヘルスケアは、日本の自治体や健康保険組合向けに、医療データを使った保健事業を手がけてきた。DeSCヘルスケアは2025年、日本で実施した糖尿病性腎症の重症化予防プログラムについて、指導を受けた人のほうが比較対象より生活習慣を改善・維持した割合が高かったとの分析を発表している。

ただし、これは日本での結果だ。食習慣や医療制度が異なるマレーシアで同じ効果が得られるかは、今回の実証で確かめる必要がある。

実証の規模や評価方法は未公表

DeNAは予防医療モデルの実効性と商用性を検証する方針だが、10月13日の発表では参加人数、対象地域、実施期間、効果の評価方法を明らかにしていない。今後は、AIが選んだ対象者にどのような支援を行い、健康状態にどの程度の変化があったかを確認できるかが焦点となる。

18歳以上の糖尿病有病率。2011年11.2%、2015年13.4%、2019年18.3%、2023年15.6%。
マレーシア成人の糖尿病有病率(2011〜2023年)。
出典を見る(9件)

DeNA「マレーシア/AI及びデータヘルスを基盤とした予防医療モデル実証事業が採択」(2026年10月13日)

経済産業省「令和7年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金 採択結果」(2026年6月30日)

経済産業省「同事業の公募について」(2026年4月17日)

マレーシア保健省公衆衛生研究所「NHMS 2023 Technical Report」

同「NHMS 2023 Fact Sheet」

マレーシア保健省「疫学速報 2025年7月号」(NHSI)

DeNA「DeNA、データホライゾン 全国の自治体向けヘルスケア事業で業務提携」(2020年)

DeNA「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの生活習慣改善効果を発表」(2025年3月28日)

原稿資料:アジアインフォネット「DeNA、マレーシアで生活習慣病の予防モデルを実証へ」(2026年10月16日)

グラフの出典・集計条件

出典:マレーシア保健省公衆衛生研究所(IKU)「NHMS 2023」表4.1。有病率は既知の糖尿病と未診断者の高血糖を含む。DeNA実証の結果を示す図ではない。

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