マレーシアのフジア国内取引・生活費副大臣は2026年10月18日、電子商取引(EC)法案を2027年最初の国会会期に提出する予定だと説明した。国営ベルナマ通信によると、初期の草案は完成し、調整を進めている。オンライン販売の運営会社や出品者の責任を明確にする狙いがある。
日本企業にとっても、現地ECで自社商品を販売する際のブランド保護に関わる動きだ。ただし、法案提出の予定が示された段階であり、模倣品の削除や出品者の特定が新制度で保証されたわけではない。
削除だけでは終わらない、模倣品の再出品
知財専門事務所Marks & Clerkは9月14日の解説で、削除された模倣品の出品が別のアカウントで再び現れる問題を指摘した。出品ページを消すだけでは、販売者の特定や繰り返しの出品への対応が残るという。
同事務所によると、政府の制度見直しでは、出品者の本人確認、記録の保存、違法商品や模倣品に対するプラットフォーム側の責任が検討されている。どこまで義務化されるかは、今後の法案の内容を確認する必要がある。
日本の商標登録だけで安心しない
世界知的所有権機関(WIPO)は、商標権は国・地域ごとに保護される権利だと説明している。日本で登録した社名やロゴが、その登録だけでマレーシアでも同じように保護されるとは限らない。
販売を始める企業は、現地での商標の登録状況と、保護の対象となる商品・サービスを確認することが基本となる。現地代理店に販売を任せる場合も、自社が持つ権利と、代理店が権利者に代わって対応できる範囲を整理しておきたい。
申立てには権利の証拠をそろえる
既存の申立て制度も利用できる。EC大手Lazadaのマレーシア向け規約は、商標や著作権の侵害について通知する手続きを定めている。問題のある掲載内容、侵害された権利の詳細、登録証など権利を持つことの証拠、代理人の場合は権限の証明が必要となる。
ただし、Lazadaは商標紛争そのものを解決・仲裁する立場にはなく、明確な侵害の場合に掲載内容を審査・削除すると説明している。実務では、対象ページのURLや販売者名、掲載内容と確認日を記録し、権利関係を示す資料と合わせて整理することが有用だ。新法の成立・施行時期に加え、出品者確認や再出品への対応がどう具体化されるかが今後の確認点となる。
出典を見る(4件)
BERNAMA「E-commerce Bill To Be Tabled In First Parliament Meeting Next Year – Fuziah」(2026年10月18日)
Marks & Clerk「Counterfeits in the Cart: Malaysia’s New E-Commerce Law Is One for Brand Owners to Watch」(2026年9月14日)
世界知的所有権機関(WIPO)「How to Protect a Trademark?」(2026年10月26日確認)
Lazada Malaysia「Terms & Conditions」内「Takedown Procedures」(2026年10月26日確認)
