マレーシア統計局(DOSM)は10月27日、2026年6月のフォーマル部門で働くマレーシア国民の月額賃金中央値が、前年同月比4.8%増のRM3,000(約11万6,000円)になったと発表した。対象となる雇用者数も3.3%増の720万人となった。
現地採用を検討する日本企業にとって、賃金水準を把握する材料となる。ただし、全国の中央値を、そのまま特定の職種や地域の採用相場として扱うことはできない。
前年から上昇も、一律の昇給率ではない
DOSMの過去資料によると、2025年6月の中央値はRM2,864(約11万円)だった。中央値とは、賃金の低い順に並べたときに中央に位置する値で、全員の賃金を合計して人数で割る平均値とは異なる。
今回の4.8%は集団全体の中央値の変化であり、すべての従業員が同率で昇給したことを意味しない。雇用者数も前年の697万人から増えており、統計の対象となる人の構成は固定されていない。
クアラルンプールの中央値は全国を約42%上回る
2026年6月の地域別中央値は、クアラルンプールがRM4,245(約16万4,000円)で最も高く、セランゴール州はRM3,245(約12万5,000円)、ペナン州は全国と同じRM3,000(約11.6万円)だった。首都の水準は全国を約42%上回る。
この差からも、全国値だけを基準に首都での採用予算を組むと、現地の賃金水準を低く見積もる可能性がある。ただし、地域ごとの産業や職種の構成も違うため、この差をそのまま同一職種の給与差と解釈することはできない。
賞与・手当を含む統計、基本給との比較に注意
DOSMの定義では、賃金には賞与、歩合、手当も含まれる。したがって、この中央値と求人票の基本給を単純に比較するのは適切ではない。また、対象はマレーシア国民のフォーマル部門の雇用者であり、自営業者やギグワーカーなどを含む全就業者の所得ではない。
採用条件を検討する際は、勤務地に加え、職種、経験、必要な技能をそろえて比較する必要がある。今回の統計は人件費の大まかな方向を確認する資料と位置付け、具体的な給与額は同条件の求人や候補者の希望条件と照合することが重要である。
円換算について
日本円は2026年10月26日のMYR/JPY終値、1リンギット=38.5297円(Investing.com、10月27日確認)で概算し、1,000円単位で丸めた。過去の賃金も同じレートで換算しており、当時の円換算額や実際の両替額とは異なる。
出典を見る(6件)
DOSM「Employee Wages Statistics (Formal Sector), Second Quarter 2026」(2026年10月27日)
DOSM「Labour Market Review, Q3 2025」(2025年6月の賃金・雇用者数)
OpenDOSM「Monthly Formal Sector Wages by State」(賃金の定義)
DOSM「Technical Notes」(統計の対象範囲)
BusinessToday「Malaysia Records Median Monthly Wage Growth In June, Rising 4.8% To RM3,000」(2026年10月27日)
Investing.com「MYR/JPY 過去データ」(2026年10月26日終値)
